今回入手したものは米国dbx社が1981年に発売したノイズリダクションユニット、Model222です。
・dbxノイズリダクションとは
通常、一般的なカセットデッキではノイズリダクションとしてドルビーNRが搭載されていることがほとんどですが、1980年前後は様々なメーカーが独自のノイズリダクションシステムを開発していました。そのなかの一つが「dbxノイズリダクション Type2」です。
国内メーカーのカセットデッキでも当時TEACやテクニクスなどのデッキで搭載されており、最強のノイズリダクションでは・・・・と言われました。
・今回入手した Mobel222とは・・・?
通常ノイズリダクションはカセットデッキに内蔵されていますが、dbxノイズリダクションに対応していない普通のデッキとアンプの間に接続してdbxノイズリダクションを追加するためのユニットです。
こちらの写真の上から2段目にあるのが今回入手したNRユニットです。
・使い勝手の良さも特徴です。
似たようなもので、東芝がAurexブランドで「Adres」方式のノイズリダクションユニットも発売していましたが、録音時にテープごとにキャリブレーションを行う必要があって非常に面倒でしたが、dbxノイズリダクションではそのようなキャリブレーションは必要なく、録音時はセレクタスイッチをRECORDに切り替えてあとは通常の録音と同じようにデッキを操作するだけです。再生時も同じくセレクタスイッチを「PLAY」に切り替えるだけです。
・ノイズリダクション効果が絶大です。
ドルビーノイズリダクションは簡単に説明すると録音時に高域を強めに録音して再生時には強めにしている高域をもとに戻して再生するというシンプルなものでした。そのためコストも低く多くのカセットデッキに搭載されていました。
そのため、ドルビーNR録音されたテープをドルビーNR非対応のデッキで再生する場合は高域を少し弱めにすれば違和感なく聴くことができます。
それに対してdbxノイズリダクションシステムは音のダイナミックレンジを圧縮して録音するため、dbx NRを使用して録音したテープは非対応のデッキで再生すると音の強弱が不安定な音になってしまいちゃんと聞くことができません。
その反面ノイズリダクション効果は絶大でドルビーBでは-10db、ドルビーCでは-20db程度のノイズリダクション効果でしたが、dbx NRでは-30dbという大きなノイズリダクション効果を得ることができ、ヘッドホンなどで大きめの音で聴いてもヒスノイズはほとんど気にならないレベルまで低減できます。
・実際に聴いてみると・・・
実際ヘッドホンで聞いてみると本当にカセットテープの音なのか・・・と思えるほどの音で非常に驚きました。やや音に違和感を感じる部分もありますが音質も良好で、ノイズリダクション時に起こりがちな音質の変化はあまり感じられませんでした。
コスト面の問題からか、dbxノイズリダクションは搭載される機種も上位モデルのカセットデッキに限定されたため、再生機器が限定されることもあり、あまり普及せずに1980年代中盤頃には既に見かけなくなってしまいました。