【アナログオーディオ道】カセットテープの録音 その2 3ヘッド機編

前回はノイズリダクションの選択の話までしましたので・・・今回は録音の話をしてみたいです。

MDやCD-R等のデジタル録音とは異なり、アナログ機器では録音前の調整でも音質に大きな差がでます。またテープごとに最良の設定が異なるので、その都度調整することでテープやデッキの能力を最大限に引き出すことができます。

 

まず、録音に使用するデッキは大きくわけで3ヘッド機と2ヘッド機の2種類に分かれます。現在市販されているカセットデッキ(ラジカセ)は全て2ヘッド機になりますが、カセットテープ全盛期の場合は中~上級機では3ヘッドタイプとなっていました。

 

3ヘッドデッキの特徴は録音しながら実際に録音された音をモニターできることです。

2ヘッド機ではそれができず、実際に録音してどのような音になっているのか確認するためには一度録音してから改めて再生する必要がありますが、リアルタイムで音を確認できる3ヘッド機では非常にシビアな録音調整ができます。

 

今回は3ヘッド機を前提に書いていきたいと思います。

まずデッキとテープなどの機器以外に必要なものがあります。ヘッドホンです。

3ヘッドのカセットデッキには必ずヘッドホン端子があると思いますので、そこにヘッドホンを接続し再生音をモニターします。

録音中に「モニター」等と書かれたボタンを押すと表示パネルやランプなどが「TAPE」や「SOURCE」などと表示されます。TAPEのときはテープの再生音、SOURCEのときは入力された音声がそのままヘッドホンから流れます。

まず、この操作は確認しておきましょう。

 

次に行うのばバイアス設定です。基本的には±0の位置が最良になっていることがありますが、テープによっては微調整をしたほうが良好な音になることが多いです。

まず、ソースとなる音源を再生し、とりあえず録音を開始します。そしてヘッドホンの音が再生音となるようにモニター出力を「TAPE」に切り替えます。そしてバイアスのつまみを操作してみると特に高音域が変化することが確認できると思います。

これをモニター出力を「SOURCE」と「TAPE」で切り替えながら原音に近いように、もしくは好みの音質になるように調整します。

またデッキによってはこの調整を支援する機能や自動調整してくれる機能があるものもありますので、その辺はデッキのマニュアルを参照してください。

2ヘッド機の場合は自動調整になっているかそもそも微調整ができない場合が多いのでデッキのマニュアルを参照してください。

 

次に行うのは録音レベルの調整です。録音レベルは上げすぎると歪んでしまいますが、下げすぎるとノイズが大きくなるなど音質に悪影響が出ます。

こちらはソースになる音源でも最も音量が大きそうな部分を選んでそこを聴きながら調整します。

モニター出力を「TAPE」に切り替え、録音レベルのつまみを操作徐々に上げていき音に歪みなどがでてくるレベルを探します。そこから少し戻すと当然ですが歪みのない音になります。念のためしばらくそのまま音をモニターして再生音に異常がなさそうであれば設定は決まりです。自分は念のためそこより少し低めの録音レベルで録音しています。これもテープの種類によって最適なレベルが異なります。

2ヘッド機の場合でもコンポのデッキなどであれば録音レベルの調整ができるものがほとんどです。この場合はまずレベルメーターがピーク時で±0を少し超えるくらいでして1曲程度録音してみます。それを再生してみて問題がなければもう少しレベルを上げてみて録音します。歪みなどがでるようであれば録音レベルを戻してそれで決まりです。

非常に面倒ですが、トライ&エラーの繰り返しで歪みなどが起きない範囲でできるだけ大きな録音レベルで録音するのがベストです。

 

今回は手動での調整を前提に書いてみましたが、90年代の高級ラジカセやシステムコンポなどではCDの録音レベルに併せて自動調整してくれるような機能もありますし、ちょっとしたカセットデッキでもバイアス程度の自動調整ができるものもありますので、一度カセットデッキの説明書を読んでみて調整機能を確認してみると良いでしょう。

 

アナログオーディオは一手間かける事で音がぐっと良くなることも多いのが面白いところですね。