【モバイル機器遍歴】第4回 1994年発売 シャープ ポケットコンピュータ PC-E500

前回まではシャープの電子手帳~初期ザウルスを紹介してきましたが、今回はちょっと流れを変えてシャープのポケットコンピュータ PC-E500を紹介しようと思います。

 

まず、ポケットコンピューターポケコン)とな何ぞや・・・という所から説明しますと、ポケットに入る超小型の簡易パソコンみたいなものです。

エントリーモデルでは1行12桁程度、上位機種では40桁4行などの大型液晶とテンキー付キーボードを搭載し、初期の8ビットパソコンと同様のBASICインタープリタが内蔵され、BASICで自作したプログラムを動作させることができるため、パソコン黎明期は高価なパソコンの代用品としてパソコン入門用としても活用されていました。

1980年代後半になるとパソコンの使い方が自作プログラムや雑誌掲載のプログラムを打ち込んで使うといった使い方から市販ソフトで活用するという使い方に変化しており、BASICプログラムで動作させることを前提にしたポケコンは次第に姿をみかけなくなり、個人向けの機種では1993年に発売されたPC-E650が最後のモデルとなってしまいます。

ただし、工業高校などでの教育用としては活用され続け、学校教育用モデルとしては2015年まで生産されていましたが、とうとう生産完了になってしまいました。

 

今回紹介するポケコンPC-E500は1988年に発売された当時非常に人気のあったシャープのポケコンの中で標準機とも言える機種で、後継機のPC-E650が発売される5年間にわたって販売されたロングセラーとも言える機種になっています。

2.3Mhzの8ビットCPUに32KBのメモリ、240*32ドットのポケコンとしては当時最大級の液晶画面を搭載しておりました。

液晶画面は漢字表示には対応しておらず、5*7ドットの半角文字を40桁*4行表示可能で、当時のポケコンとしては珍しくBASIC命令でグラフィック操作もできるモデルでしたが、モノクロ2階調の液晶ですので、表現力はそれほど高くはありませんでした。

電源は単4電池4本でメーカー発表の数値では連続稼働時間は70時間程度でしたが、これは動作させるプログラムによっても大きく異なってきますが、2~3週間程度は使用できました。

 

そしてこの機種はRAMディスク機能を搭載しており、本体メインメモリの一部をRAMディスクに割り当て、自作プログラムやデータなどを保存できるようになっており、最大512MBまで拡張できる仕様になっていました。

内蔵メモリはバッテリーバックアップに対応したS-RAMが使用されており、電源を切ってもRAMの内容は保持され、電池交換時もメモリー保護電池が搭載されているためメモリが消えることはありませんでした。

 

また、このPC-E500シリーズは拡張性が高いことも特徴のひとつで、データ保存用のカセットレコーダーを接続するI/Fキット、FDDドライブ、パソコンと接続できるRS-232Cコンバーター、小型プリンタなどが多数用意されていました。

また、構造が非常にシンプルなため、カセットレコーダー接続用I/Fは針金とイヤホンケーブル等のモノラルミニジャック付のケーブルがあれば簡単に自作もできました。

 

現在でもハードオフの店頭でもたまに売られてることがあり、構造が単純な為か正常動作する固体も多く、私もここ数年でジャンク品のポケコンを2台ほど入手しておりますので、興味がある方はハードオフをまめに探してみるか、ネットオークションでも容易に見つかるようです。